一見フードが内蔵されているように見えないギミックの効いた襟のデザイン、カフス裏やブタ鼻は頑丈なグローブレザーを採用。そしてTALON社が1960-80年代に作成していたバータブの引き手を採用するなど、アメリカ製のアウトドアウエアが良かった時代のクラシカルな登山ウエア彷彿させます。巷で見る所謂テックウエアとは一線を画す仕上がりになりました。
肝心なシルエットはクラシックながら程よく力が抜けた身頃と着丈のバランス感に対して少し長めに設定された袖丈。レンジの広いインナーを想定して何度もライン取りをし直して完成した形です。腕の可動域も抜群で、素材の硬さ、重さのストレスを感じさせません。
1980年代でもなければ2010年代でもない時代感を感じないという言葉が一番しっくりきます。またこの素材は化繊ながら着用のアタリが出る唯一無二の素材ですので着れば着るほど風合いが増して来るのもこの洋服を着る楽しみの一つでもあります。
古めかしいアウトドアウエアの良い部分と現代の技術でないと作れなかった機能的なシェルで完成させたこの一着はこの先10年、20年と長い付き合いができる洋服の完成度だと思います。